自賠責保険の解約方法|手続きの注意点や返金額について解説

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「事故で車が修理不能の状態になった」などの理由で車を廃車にする際には、自賠責保険を解約することで、残りの保険期間に応じた返戻金が支払われます。自賠責保険は、加入が義務付けられていますが、どういったケースで解約することができるのでしょうか。自賠責保険を解約する条件や返戻金について押さえた上で、解約の手続きの流れ、必要な書類などについて解説します。

自賠責保険の解約方法

自賠責保険を解約できる条件

自賠責保険を解約できる条件

自賠責保険は、自賠責保険法によって、全ての自動車に加入が義務付けられている強制保険のことです。自賠責保険に加入していなければ、公道を走ることができません。また、自賠責保険に加入していない場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される他、違反点数6点が付加されることで、免許停止処分になってしまいます。

自賠責保険を解約できるのは、以下のケースに制限されています。

  • ● 車を廃車にしたとき
  • ● 保険期間の満了のとき
  • ● 自賠責保険に重複加入しているとき
  • ● 一時抹消登録時

抹消登録や一時抹消登録を行うケースの他、重複契約しているときに限られています。

車を廃車にしたとき

自賠責保険の保険期間が残っているときに解約できるのは、基本的に車を廃車にするケースです。車を廃車にするのは、事故や故障によって車の修理が難しいケースや、乗っていた車が動かなくなったケースなどが挙げられ、「その車には永久に乗らないとき」が該当します。廃車をするには、車を解体した後、運輸支局で永久抹消手続きを行うといった流れで、車籍が抹消されます。

保険期間の満了のとき

自賠責保険の保険期間の満了のときに、車を引き続き使用するのであれば、更新手続きと車検を受けることが必要です。保険期間の満了のときに自賠責保険を更新しなくて良いのは、廃車にするときに限られているので、永久抹消登録か、あるいは後述する一時抹消登録が必要です。

自賠責保険に重複加入しているとき

自賠責保険に重複加入しているケースで多いのは、2つのパターンがあります。1つ目は、車検のときに自身で加入手続きを行い、そのことを伝えずに車検場に持ち込んだため、車検場でも加入手続きが行われるといったケースです。2つ目は、譲渡された車が自賠責保険に加入しているにもかかわらず、譲り受けた人が新規で加入してしまうといったケースです。

自賠責保険に重複加入していることに気付いたときは、片方を解約することが可能です。この場合、保険の終期が早い方を解約することとなり、終期が同じ場合はいずれかを解約します。

一時抹消登録時

車を廃車にするケース以外でも、一時的に車に乗らない場合には、運輸支局で一時抹消登録を行うことで、自賠責保険を解約することが可能です。一時抹消登録とは、長期間にわたって車を使用しない期間があるときに一時的に車籍を抹消することをいいます。一時抹消登録の場合は、再登録を行うことで、再び公道を走ることが可能です。一時抹消登録は、長期の海外転勤や長期の入院といったケースで用いられていますが、その後、必ずしも再登録しなければならないということはなく、二度と乗らない場合は、改めて永久抹消登録を行うこともできます。

自賠責保険を解約すると保険料は返金される

自賠責保険を解約すると保険料は返金される

車を廃車にしたときに自賠責保険を解約することは義務付けられていませんが、次の車検までの保険料の2年分を前払いしているため、解約手続きを行うと、残っている保険期間に応じた額が返金されます。自賠責保険の解約日は、保険会社が必要な書類を受け取った日となり、1~2週間程度で指定の口座に返戻金が振り込まれます。書類に不備がある場合は、返金までさらに日数がかかります。

自賠責保険の解約返戻金額

自賠責保険の解約返戻金額

自賠責保険の保険料には、保険金の支払いに充てられるお金だけではなく、保険会社の経費も含まれているため、収めた保険料を月割りした金額がそのまま戻ってくるというわけではありません。また、自賠責保険の解約返戻金は、月単位での計算となるため、例えば、保険会社に解約書類が受理されていた時点で保険期間が「10カ月10日」残っていたとしても、「10カ月分」となります。

自賠責保険の保険料は地域による違いが一部あり、数年ごとに改定されていますが、返戻金は保険会社による違いといったものはありません。

2020年4月以降に契約した場合、自賠責保険の返戻金は、目安となる金額を以下の計算式で算出することができます。

<計算式>
普通車の場合:680円×残りの保険期間の月数
軽自動車の場合:660円×残りの保険期間の月数

例:普通車で契約期間が10カ月10日残っているケース
680円×10=6,800円

自賠責保険の解約方法

自賠責保険の解約方法

車の自賠責保険を解約する際には、任意保険とは別に手続きが必要となります。自賠責保険の解約方法について、以下の項目に沿って解説します。

  • ● 解約手続きの流れ
  • ● 自賠責保険解約に必要な書類

自賠責保険の解約にあたり、保険会社によっては事前連絡が必要です。自賠責保険の解約手続きは、郵送または営業店の窓口で行いますが、保険会社によっては郵送での手続きが推奨されています。ただし、自賠責保険証明書を紛失している場合には、営業店の窓口での手続きが必要です。

解約手続きの流れ

車の自賠責保険の解約は、以下の流れで行います。

  • 1. 保険会社のサポートデスクまたは営業店に連絡を入れる
  • 2. 必要な書類を準備する
  • 3. 営業店に書類を持参するか、サポートデスクに書類を郵送する

自賠責保険を解約する際には、保険会社によってサポートデスクや営業店に事前連絡が必要です。郵送で手続きを行う場合の書類は、郵送するケース、ホームページからダウンロードするケースがあります。保険会社によっては、手続きの書類をホームページからダウンロードすることが可能ですが、郵送での手続きが推奨されています。

自賠責保険解約に必要な書類

自賠責保険の解約には、以下の書類が必要となります。

  • ● 自賠責保険証明書
  • ● 自動車の廃車等が確認できる書類
    (永久抹消登録や一時抹消登録などによる場合/普通車)
    登録事項等証明書、自動車重量税還付申請書付表1、一時抹消登録証明書、登録識別情報等通知書、輸出抹消仮登録証明書、輸出予定届出証明書、解除事由証明書のいずれか1通
    (永久抹消登録や一時抹消登録などによる場合/軽自動車)
    検査記録事項等証明書、自動車重量税還付申請書付表1、自動車検査証返納証明書、軽自動車検査証返納確認書、輸出予定届出証明書、解除事由証明書のいずれか1通
    (重複契約による場合)
    他の自賠責保険証明書
  • ● 保険契約者本人の確認書類
    運転免許証、健康保険証、社員証、印鑑証明書(自動車損害賠償責任保険承認請求書に同一の印鑑を押印)など
  • ● 自動車損害賠償責任保険承認請求書(保険会社が用意/郵送・ホームページ・窓口)
  • ● 印鑑(営業店の窓口に行く場合)

自賠責保険証明書を紛失している場合は、郵送での手続きができず、営業店での手続きとなります。ただし、自動車の廃車等が確認できる書類や保険契約者本人の確認書類として認められるものは、保険会社によって異なる部分があります。

自賠責保険解約の注意点

自賠責保険解約の注意点

自賠責保険は、加入が義務付けられているため、解約にあたっていくつか注意点があります。以下、知っておきたい注意点をまとめてみました。

  • ● 車を売却しただけでは解約されない
  • ● 解約したい場合には直接保険会社に連絡する
  • ● 残っている保険期間によっては返戻金がない場合もある
  • ● 契約者が違う場合は解約の際に名義変更が必要

車を売却したとしても自賠責保険の契約は継続されるため、自動的に解約されることはありません。また、自賠責保険の契約者が車の現所有者と異なる場合は、解約する前に名義変更手続きが必要です。自賠責保険の解約手続きは、代理店では行っておらず、残りの保険期間によって返戻金がないといったケースもあります。

車の譲渡に伴う自賠責保険の名義変更についてもっと詳しく知る

車を売却しただけでは解約されない

自賠責保険は車に掛けている保険であることから、車を売却しても自動的に解約されることがなく、保険契約が継続します。そのため、車を売却しても自賠責保険の解約返戻金が戻ってくるというわけではありません。

ディーラーなどの自動車販売店で車を売却した場合、自賠責保険の名義変更の手続きは、通常店舗で行っています。ネットオークションなどの個人間取引の場合は、新しい所有者への名義変更手続きが必要です。自賠責保険の名義変更をしなくても、万が一新しい所有者が事故を起こした場合は保険金が支払われますが、手続きが煩雑になります。また、保険会社に対して、契約内容の変更に関する通知義務があります。

解約したい場合には直接保険会社に連絡する

自賠責保険を解約する際は、直接、保険会社のサポートデスクや営業店に連絡を入れます。代理店などでは手続きができないといった点に注意が必要です。

残っている保険期間によっては返戻金がない場合もある

自賠責保険を解約した場合、基本的には返戻金が戻ってきますが、返戻金は月単位の計算となります。そのため、自賠責保険の解約手続きが遅れてしまったケースなどで残りの保険期間が1カ月未満の場合、返戻金は支払われません。自賠責保険を解約する場合は、速やかに手続きをするようにしましょう。

契約者が違う場合は解約の際に名義変更が必要

自賠責保険を解約できるのは契約者本人であるため、前所有者の名義のままの自賠責保険を解約する場合は、名義変更と解約の手続きを行うことになります。ただし、現所有者が単独で手続きできるかどうかについては、保険会社によって異なる部分もあります。

まとめ

まとめ

自賠責保険は、車を廃車にしたときなど車を明らかに使用しない場合に解約することができます。自賠責保険を解約すると、基本的には返戻金が戻ってきますが、1カ月単位での計算となります。また、車を廃車にした日ではなく、保険会社に書類が届いた日を基に、返戻金の計算が行われます。車を廃車にしたり、自賠責保険の契約の重複に気が付いたりしたときには、速やかに解約手続きを行うようにしましょう。

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