対人賠償保険とは|搭乗者傷害保険・人身傷害保険との違い
任意の自動車保険の基本補償に含まれている対人賠償保険とは、一体どのようなものなのでしょうか。この記事では対人賠償保険の概要や補償範囲、搭乗者傷害保険・人身傷害保険との違い、保険金額はいくらに設定すると良いのかを解説しています。
対人賠償保険とは
対人賠償保険とは、自動車事故により、他人に傷を負わせたり死亡させたりして、法律上の損害賠償責任が発生した場合に、相手方の治療費や慰謝料などを補償する保険のことです。
損害賠償責任のある事故を起こした場合、自賠責保険から保険金が支払われますが、自賠責保険を超える範囲の賠償金額については、任意の自動車保険からまかなうことになります。 なお、対人賠償保険は、人物のみが対象です。一方、車や物への損害補償は「対物賠償保険」が適用されます。
想定される損害賠償責任の補償例
対人賠償保険の損害賠償責任の補償例は、大きくわけて次の4つです。
- ・治療費などの実費…通院の交通費・治療費・葬儀費用など
- ・逸失利益…事故に遭わなければ得られていた収入
- ・精神的損害…苦痛・悲嘆など被害者が精神的に受けたショックに対する費用(慰謝料)
- ・将来の介護料…後遺障害により将来かかるであろう費用
このように、対人賠償保険の補償は治療費や葬儀費用などの実際にかかった費用だけではなく、慰謝料や後遺症による介護料などに幅広く適用されます。
保険金が支払われるケース
例えば、次のような事故を起こしたときに対人賠償保険の保険金が支払われます。
- ・車を運転中に自転車と接触し相手に後遺症が残った
- ・車を運転中に歩行者と接触し相手が死亡した
- ・車を運転中に自分の不注意で前車と衝突し、相手がケガをした
なお、保険金が支払われるのは自身の過失割合分のみです。
例えば、相手のケガの治療費が1,000万円かかったとします。過失割合が7対3(自分が7)だった場合、700万円(1,000万円の治療費×自身の過失割合70%) が必要な賠償金額です。
ケガに対する自賠責保険の保険金の上限は120万円なので、120万円は自賠責保険から支払われ、残り580万円は任意保険で設定した補償金額の範囲内から支払われます。
過失割合についてもっと詳しく知る保険金が支払われないケース
他人に損害があっても、次のようなケースに該当する場合には、保険金の支払いはありません。
- ・契約者、記名被保険者などの故意によって事故が起きた場合の損害
- ・戦争、内乱、暴動などによって生じた損害
- ・地震、噴火、津波、台風、洪水、高潮によって生じた損害
- ・被保険自動車を競技、曲技もしくは試験のために使用すること、または被保険自動車を競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用することによって生じた損害
- ・記名保険者の本人および家族が被害者の場合
一般的に自然災害や故意に引き起こした事故の場合は、保険金の支払いの対象外となります。また、事故の相手が家族であった場合にも保険金の支払いはできません。これについては次の項目で詳しく解説します。
対人賠償保険の補償範囲
対人賠償保険は、他人への損害賠償が補償の対象です。事故の相手への補償だけではなく、自分の車に同乗していた他人も保険金の支払い対象となります。例えば、事故によって同乗していた友人がケガをした場合、対人賠償保険の補償を受けることができます。
補償範囲の対象外となる人
同乗している他人が保険の対象となる一方で、保険の契約者本人やその家族は、補償の対象外となります。以下は対人賠償保険の対象外となる条件です。
- ・記名被保険者(保険の契約者)
- ・記名被保険者の配偶者
- ・記名被保険者または配偶者の同居の親族
- ・記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
- ・記名被保険者の承諾を得た使用者
搭乗者傷害保険・人身傷害保険との違い
人への損害に対する保険に、搭乗者傷害保険と人身傷害保険があります。一見すると対人賠償保険と似ていますが、補償の対象となる範囲が異なります。
| 保険の種類 | 補償の対象となる人の範囲 |
|---|---|
| 対人賠償保険 | 他人のみ |
| 搭乗者傷害保険・人身傷害保険 | 同乗していた人全員 |
それぞれの違いをより詳しく見ていきましょう。
補償の対象となる人の範囲が異なる
対人賠償保険の対象となるのは他人のみです。
一方、搭乗者傷害保険・人身傷害保険は、車に同乗していた全員が補償の対象となるため、運転していた本人や家族にも保険金が支払われます。もしも、事故を起こしたときに家族と他人が同乗していた場合は、対人賠償保険、搭乗者傷害保険、人身傷害保険のすべてから保険金を受けとることが可能です。
なお、人身傷害保険と搭乗者傷害保険は、保険金の支払い方が異なります。人身傷害保険は、保険金額を上限とした損害額の支払いになります。一方、搭乗者傷害保険は、契約で予め決められた金額がケガの程度に応じて保険金が支払われます。
人身傷害保険についてもっと詳しく知る
搭乗者傷害保険についてもっと詳しく知る
対人賠償保険は相手方への補償です。自分に過失があった場合、例えば自分が100%悪い追突事故などは、相手の損害に対して対人賠償を使いますが、自分もケガをしたなどの場合は自分の人身傷害保険を使います。
それにプラスして搭乗者傷害特約をつけておくと、契約車両に乗車中の方がケガをした場合に、定額で保険金を支払うということになります。
対人賠償保険の被保険者
対人賠償保険の被保険者(保険が利用できる人)は次の通りです。
- ・保険を契約している本人(以下「記名被保険者」)
- ・契約時に特定した自動車(以下「被保険自動車」)を使用・管理中の次のいずれかに該当する者
○記名被保険者の配偶者
○記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
○記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚(これまでに婚姻歴がないこと)の子 - ・記名被保険者の承諾を得て被保険自動車を使用・管理中の者(許諾被保険者)
- ・記名被保険者の使用者
つまり、家族が被害者の場合は保険金の支払い対象に含まれませんが、家族が事故を起こして加害者となった場合には、対人賠償保険を利用して他人への賠償責任を果たすことができます。
対人賠償保険の保険金額はいくらがよい?
すべての車の所有者に加入が義務付けられている「自賠責保険」にも、他人への死傷に対する補償があります。自賠責保険の被害者1名につき支払われる保険金の最高額は次の通りです。
- ・死亡…3,000万円
- ・後遺障害…3,000万円(常時介護の時は4,000万円)
- ・傷害…120万円
なお、後遺障害については第1級から第14級までの等級があり、障害の等級に応じた保険金が支払われる仕組みとなっています。
事故を起こした場合は、先に自賠責保険の補償分を利用し、足りない差額を対人賠償保険でまかなうことが一般的です。
それでは任意保険の対人賠償保険の保険金額はいくらに設定するのが良いのかを詳しく説明します。
無制限にしておくと安心
次の表は、実際に起きた事故の事例・判決です。
| 損害額 | 判決日 | 被害者の 性別/年齢 |
被害者の職業 | 態様 |
|---|---|---|---|---|
| 5億2,853万円 | 2011年11月1日 | 男性41歳 | 眼科(開業医) | 死亡 |
| 4億5,381万円 | 2016年3月30日 | 男性30歳 | 公務員 | 後遺障害 |
| 4億3,961万円 | 2016年12月6日 | 女性58歳 | 専門学校教諭 | 後遺障害 |
| 3億9,725万円 | 2011年12月27日 | 男性21歳 | 大学生 | 後遺障害 |
このように事故によっては高額な賠償金額になることもあります。
自賠責保険の上限である死亡時の3,000万円や、常時介護時の4,000万円を考慮しても億単位の賠償金が残る可能性もあるでしょう。
対人賠償保険の保険金額の設定を無制限にしておくことで、高額な賠償金額にも備えることができます。
対人賠償保険に関するQ&A
ここでは対人賠償保険を利用すると等級は下がるのか、無免許や飲酒運転の場合は保険金の支払いはどうなるのかといった疑問を解説していきます。
Q.対人賠償保険を利用すると等級は下がる?
A.事故を起こして対人賠償保険を使用すると、ノンフリート等級が3等級ダウンします。そのため、翌年の保険料は高くなります。
Q.相手が無免許運転・飲酒運転の場合でも保険金の支払い対象になる?
A.被害者救済の観点から、事故を起こした人が無免許運転や飲酒運転だった場合でも、保険金は支払われます。
加害者が違法な運転で事故を起こした場合、任意の自動車保険に加入していたとしても保険金を受け取ることはできません。被害者は、加害者の自賠責保険から保険金を受け取ることができます。
なお、被害者になり、ケガなどを負った場合は、自分が加入している人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険、車の損害には車両保険などの補償を受けることができます。
飲酒運転や無免許運転は、危険極まりない違法行為です。絶対に止めましょう。
まとめ
対人賠償保険は、自動車事故における相手方への賠償を担う保険です。自賠責保険にも対人賠償保険はありますが、保険金額に限度があります。そこで、自賠責保険だけでは賄いきれない甚大な賠償を助けるものとして、自動車保険(任意保険)の対人賠償保険があります。自動車保険の最大のリスクは、相手の人体に損害を与えることです。そのため、対人賠償保険は、自動車保険における非常に重要な保険と言えます。
「人」に対する補償という点では、人身傷害保険や搭乗者傷害保険とも混同しやすいですが、補償の範囲が異なります。それぞれの違いをよく理解し、納得のいく補償範囲の設定を行いましょう。
※上記は概要を説明したものです。引受保険会社により、商品名や補償内容等は異なりますので、ご契約にあたっては必ず「各社商品パンフレット」および「重要事項のご説明・契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」をあわせてご覧ください。
また、詳しくは「ご契約のしおり(普通保険約款・特約)」等をご用意していますので、取扱代理店または引受保険会社までご請求ください。ご不明な点につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問合わせください。
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- ※自動車保険に加入中の方は保険証券・免許証を、未加入の方は車検証・免許証をご用意ください。
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