交通事故の過失割合とは|決め方や適切な割合決定が重要である理由を解説

このエントリーをはてなブックマークに追加

自動車事故においては、損害賠償金を決めるにあたって、当事者である加害者と被害者の責任の割合を示す「過失割合」が重要です。被害者にも過失割合がある場合は、受け取れる損害賠償金が減ることになります。ここでは、交通事故の過失割合とは何か、過失割合はいつ決まるのか、過失割合が重要な理由や決め方、過失割合の例などについて紹介します。

交通事故の過失割合とは|決め方や適切な割合決定が重要である理由を解説

交通事故の過失割合とは

交通事故の過失割合とは

交通事故の「過失割合」とは、交通事故の原因となった過失や不注意による責任の割合のことをいいます。自動車による交通事故は、当事者の片方にのみに過失があるといったケースは少なく、双方に何かしらの過失があるケースが多いです。

そこで、交通事故の原因となった過失の責任の割合を「100:0」「90:10」「60:40」といった形で、数値で表します。一般的に、当事者のうち過失割合の多い方を「加害者」、少ない方を「被害者」と呼びます。

過失割合が重要である理由

過失割合が重要である理由

交通事故で過失割合が重要であるのは、過失割合に応じて当事者が責任を取るためです。被害者にも何かしらの過失がある場合、加害者が全ての責任を負うことは公平でないため、被害者も過失割合に応じて責任を取る必要があります。

対人賠償や対物賠償においては、加害者は過失割合に基づいて、「過失相殺」という形で損害額から被害者の責任の割合分を差し引いて賠償を行います。

それでは、過失割合が重要である理由を、「加害者側」と「被害者側」に分けて説明します。

【加害者側】被害者に支払う損害賠償金が変わる

加害者側から見ると、過失割合によって損害賠償金の支払い額に影響があります。被害者側にも過失がある場合は、過失割合に応じて加害者側の支払う損害賠償金が減額されます。また、被害者側も、過失割合に応じて加害者側に対しての損害賠償金を支払うことになるため、加害者側の支払う損害賠償金と相殺する形になります。

交通事故の損害賠償金には、一般的に以下のようなものが挙げられます。

  • ・治療費
  • ・通院交通費
  • ・入院雑費
  • ・付き添い看護費用
  • ・装具・器具購入費
  • ・休業損害
  • ・将来介護費
  • ・後遺症遺失利益
  • ・死亡逸失利益
  • ・葬儀費用
  • ・車両修理費
  • ・慰謝料

【被害者側】過失があれば自己負担が必要

被害者側であっても、過失割合が「100:0」でなければ、損害の全額を加害者側に請求することはできません。被害者側も過失割合に応じて自己負担、または自身の自動車保険の保険金によって損害を賄うことになります。それだけではなく、加害者側にも損害が発生した場合、被害者側は過失割合に応じた負担が必要となります。そのため、被害者側に過失があった場合は、損害賠償金として受け取れる金額が減ることになります。

過失割合による損害賠償金の違い

過失割合は、1割違うだけでも、加害者側や被害者側にとって損害賠償金の金額が大きく異なります。また、損害額は、被害者側の方が大きいとは限りません。

例として、加害者Aの損害額300万円、被害者Bの損害額200万円の場合の過失割合による損害賠償金の違いを見てみましょう。

<ケース1/過失割合:加害者A 80%、被害者B 20%>
AからBへ支払う損害賠償金:200万円×80%=160万円
BからAへ支払う損害賠償金:300万円×20%=60万円
⇒AからBへ差額の100万円を支払う

<ケース2/過失割合:加害者A 70%、被害者B 30%>
AからBへ支払う損害賠償金:200万円×70%=140万円
BからAへ支払う損害賠償金:300万円×30%=90万円
⇒AからBへ差額の50万円を支払う

このケースでは、過失割合が1割変わるだけで、被害者Bが受け取れる損害賠償金に50万円の違いが生じます。適正な過失割合でないにも関わらず安易に合意してしまうと、大損してしまう可能性があるのです。

過失割合は誰が決めるのか

過失割合は誰が決めるのか

損害賠償金額に影響する過失割合は、通常は過去の裁判例を基に、当事者や代理人との話し合いによって決定します。しかし、裁判の判決や裁判上の和解で決定するケースもあります。

それでは、交通事故の過失割合は、誰が決めるのか、いつ決まるのかについて見ていきましょう。

決め方は当事者同士または代理人同士の話し合い

交通事故の過失割合は、民事上の問題であるため、当事者同士や代理人同士による話し合いとなります。自動車保険に加入している場合、保険会社は契約者が支払う損害賠償として保険金を支払う義務があるため、加害者側や被害者側だけではなく、保険会社も当事者に該当します。そのため、加害者側と被害者側の契約する保険会社の担当者が、過失割合の協議を行うのが一般的です。

また、過失割合の決定を含め、示談交渉の代理人としては弁護士に依頼するという選択肢もあります。

「過失割合は警察が決めるのでは?」と思われがちですが、警察は民事不介入の原則に基づき、過失割合の決定には関わりません。ただし、警察が現場の確認や当事者からの事情聴取を基に作成した「実況見分調書」は、保険会社や弁護士が過失割合を主張する際の判断材料として用いられています。

過失割合の基準となるもの

交通事故の過失割合を決める上での基準となるのは、過去の交通事故の裁判例です。

過失割合を決める際、過去の裁判例を参照して使用されるのは、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ38)」です。掲載されている交通事故に類似する類型を決定し、その類型の「基本割合」を基に、実際の事故の状況に応じて「修正要素」を検討して加減を行い、過失割合を決定するという流れです。

また、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)も、過失割合の決定の参考にされることがあります。

「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ38)」は、書店やオンラインショップなどで購入することが可能です。「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」は、書店での取り扱いがなく、日弁連交通事故相談センターで販売されています。

もし保険会社が主張する過失割合が正しくないと感じる場合は、こうした書籍などを参考に弁護士に依頼することも選択肢の一つです。

交通事故の過失割合はいつ決まるのか

交通事故の過失割合はいつ決まるのか

交通事故の過失割合が決まるのは、次の2つのいずれかのタイミングです。

  • ・話し合いでの示談
  • ・裁判の判決や裁判上の和解時

1つ目の「示談」とは、民事上の責任を当事者同士の話し合いで解決することをいいます。示談交渉による方法では、過失割合を決定し、損害賠償額に双方が合意して示談が成立するという流れになります。

2つ目は、裁判を起こし、裁判の判決、あるいは裁判上の和解によって解決する方法です。損害賠償金を決める前提として、過失割合が決定されます。

通常、交通事故の過失割合は、示談によって決定します。交通事故の過失割合や損害賠償義務を巡る民事裁判に発展するのは、主に保険会社の提示する過失割合に納得できないケースです。これは「早期解決を図ることを目的に、交通事故の細かい状況や修正要素が反映されていない」といった理由によります。

過失割合の例

過失割合の例

以下、交通事故の基本過失割合について、パターンごとによくある事例を紹介します。実際の事故の過失割合は、状況によって異なることがあります。

  • ・自動車同士の交通事故
  • ・自動車と自転車の交通事故
  • ・自動車とバイクの交通事故
  • ・自動車と歩行者の交通事故

自動車同士の交通事故では、基本的に優先度が高い方の過失割合が低くなります。自転車・歩行者と自動車の交通事故では、自転車・歩行者の方が交通弱者であるため、自転車・歩行者側がたとえ赤信号で渡っていたとしても、自動車にも過失が問われます。また、自動車とバイクの交通事故においても、バイクの方が交通弱者であるため、自動車の過失割合が高くなることがあります。

自動車同士の交通事故

同程度の幅の道路の信号機のない交差点で直進する自動車同士が、同程度のスピードで衝突した事故の場合の基本過失割合は、左方車が40%、右方車が60%となります。道路交通法では、左側の車が優先と決められており、左方車の過失割合が10%少なくなるためです。

一方、明らかに広い道路と狭い道路が交わる信号機のない交差点で自動車が衝突した場合の基本過失割合は、広い道路を走る車が30%、狭い道路を走る車が70%となります。これは、広い道路を通行する自動車の優先度が高いことが理由ですが、交差点を通行する際には、双方に徐行や安全確認の義務があるため、広い道路を走る車にも過失が認められます。

また、信号機のある交差点内に直進車と右折車が青信号で侵入し、衝突した場合の基本過失割合は、直進車が20%、右折車が80%です。右折する際には、直進車が優先ですが、直進車にも交差点内を安全な速度や方法で進行する義務があり、右折車が来る可能性を予見できるため、過失割合が発生します。

自動車と自転車の交通事故

信号機のある交差点内に自転車が青信号で侵入し、自動車が赤信号で侵入した場合の基本過失割合は、自動車が100%、自転車が0%です。

しかし、青信号で自動車が侵入し、赤信号で自転車が侵入した場合の基本過失割合は、自動車が20%、自転車が80%で、自動車にも過失割合が発生します。自転車は、道路交通法においては軽車両であり、信号を無視しているため、大きな過失があります。一方で、自動車は青信号であっても、交差点で自転車が飛び出してくる可能性を予見し、安全に運転する義務があります。

また、同程度の幅の道路の信号機のない交差点で自動車と自転車が直進し、衝突した場合の基本過失割合は、自動車が80%、自転車が20%となりますが、自転車が一方通行違反をしているケースでは、それぞれ50%となります。

自動車とバイクの交通事故

同じ幅の道路の信号機のない交差点で、直進するバイクと自動車が同程度のスピードで衝突した事故において、左方がバイク、右方が自動車の場合の基本過失割合は、バイクが30%、自動車が70%となります。これは、左側走行する方が優先であることに加え、バイクは自動車よりも交通弱者とされることによります。

交差点の左折時に、自動車がバイクを巻き込んで衝突した事故の場合、交差点の30m手前で自動車が左折の合図を出していたケースにおける基本過失割合は、自動車が80%、バイクが20%です。自動車は、左折するときには左に寄っておかねばならないため、「十分に左側に寄っていない」「後方の確認が不十分」という点で過失となります。バイクは、左折の合図の見逃しや前方の不注意という過失となります。

自動車のドアを開けた際、右側を走行するバイクに接触した事故の基本過失割合は、自動車が90%、バイクが10%です。自動車の後方確認不足が主な原因であり、バイク側も前方の注意責任が問われます。

自動車と歩行者の交通事故

信号機のある交差点で歩行者が青信号で横断歩道を横断しているときに、自動車が赤信号にも関わらず交差点に侵入して衝突した場合の基本過失割合は、自動車が100%、歩行者が0%です。基本的に、青信号で横断中の歩行者が過失を問われることはありません。

また、信号機のない交差点においても、歩行者が横断歩道を横断しているところに自動車が衝突した場合の基本過失割合は、自動車が100%、歩行者が0%です。横断歩道を歩行者が渡っているときには、自動車は一時停止して譲る義務があります。

一方、信号機のある交差点で歩行者が赤信号で横断歩道を横断し、青信号で自動車が交差点で侵入して衝突した場合の基本過失割合は、自動車が70%、歩行者が30%です。赤信号を無視した歩行者の過失が大きいですが、自動車も前方の安全確認に関する過失を問われます。

まとめ

まとめ:交通事故の過失割合とは

自動車事故は、事故の状況を基に過失割合を決めていきますが、損害賠償金額に大きく影響します。一般的に保険会社が過失割合の協議を行うことが多いですが、「適正でない」と感じる場合は、弁護士を代理人に立てることも選択肢の一つとなります。万が一に備え、代表的な類型の基本過失割合の目安を知っておきましょう。

※本記事は2021年9月24日時点での情報です。
※上記は概要を説明したものです。引受保険会社により、商品名や補償内容等は異なりますので、ご契約にあたっては必ず「各社商品パンフレット」および「重要事項のご説明・契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」をあわせてご覧ください。
また、詳しくは「ご契約のしおり(普通保険約款・特約)」等をご用意していますので、取扱代理店または引受保険会社までご請求ください。ご不明な点につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問合わせください。
保険料を見直すだけで平均35,000円も安くなる 一括見積もりの使い方をチェック!
このエントリーをはてなブックマークに追加

ご利用は無料!今すぐ見積もり依頼を!

自動車保険一括見積もり
▼あなたの車のメーカーは? ヘルプ

  • ※自動車保険に加入中の方は保険証券・免許証を、未加入の方は車検証・免許証をご用意ください。
  • ※現在の保険契約の満期日まで、1日以上90日未満の方が見積もり依頼の対象です。
  • ※お取り扱いできない契約もございます。詳細はページ下部をご確認ください。
  • ※法人・営業用はこちら/バイク保険はこちら

このページを読んだ人は次のページも読んでいます

交通事故を起こしたときの保険会社とのやりとりの流れ|保険金の請求・受取りを解説

追突事故などの交通事故を起こしたとき、事故への対処や保険会社への保険金の請求は、どのような流れで行っていくのでしょうか。保険会社へ連絡する前に、まずは事故現場で義務付けられている対応を行う必要があります。交通事故を起こしたときの現場対応の義務について解説した上で、保険会社とのやりとりの流れなどを紹介します。

続きを読む

もらい事故とは|修理代などの自動車保険での適用や事故対応の流れについて解説

自動車事故の多くは双方に過失がありますが、もらい事故の場合は一方にのみ過失があり、加害者側が全ての責任を負うことになります。「自動車保険に入っていれば、保険会社が示談交渉をやってくれるから大丈夫」と考えている人は少なくありませんが、もらい事故の場合だと事情が違ってきます。本記事では、もらい事故とは何か、自分の自動車保険で適用される保険、保険会社が示談交渉を代行できない理由、対処方法などについて紹介します。

続きを読む

事故有係数適用期間とは?自動車保険のノンフリート等級制度についてわかりやすく解説

事故を起こして自動車保険を利用すれば、翌年度から等級が下がって保険料が高くなります。1等級から20等級までの等級区分によって保険料が変わる保険料割増引制度を「ノンフリート等級制度」と呼び、保険会社にかかわらず、すべての自動車保険の保険料算出に導入されています。 等級が上がるほど安全運転と見なされ、保険料は安くなります。なお、同じ等級でも、事故歴がある場合は事故無しに比べて保険料はアップします。 事故有の等級が適用される期間のことを、「事故有係数適用期間」と言います。今回は、保険料を左右する「事故有係数適用期間」について、わかりやすく解説します。

続きを読む

事故で自動車保険を使用するとどのくらい等級が下がるのか解説

自動車保険の「等級」とは、事故歴に基づいて保険料の割引率・割増率を決めるしくみのことを言います。個人が加入する自動車保険では、「ノンフリート等級制度」が適用されており、単に「等級」とも呼ばれます。
等級には、事故の有無が大きく影響します。つまり、事故の有無が、保険料に大きく影響するということでもあります。
今回は、事故を起こした場合に等級がどう変わるのか、等級に影響する事故とはどのようなものなのか、また等級によって保険料の割引率がどう違うのかなど、事故と等級の関係について詳しく説明します。

続きを読む

自損事故保険(特約)とは|補償範囲・金額やどんな人に必要な保険か解説

自損事故保険(自損事故傷害特約)は、相手のいない自損事故(単独事故)に備える保険の一つです。実は、自損事故は、人身傷害保険や搭乗者傷害保険でも補償の対象となり得ます。では、なぜ加入する必要があるのでしょうか。本記事では、自損事故保険の補償範囲や補償金額について紹介した上で、人身傷害保険や搭乗者傷害保険との違いについても解説します。

続きを読む

自動車保険のトリセツ のほかのカテゴリ

【自動車保険一括見積もりについてのご注意】
  • 株式会社ウェブクルーが運営する「保険スクエア bang!」などの自動車保険一括見積もりサイトでは、複数の保険会社に一括で自動車保険の見積もり依頼をすることができます。
  • お見積もり結果は、各保険会社または損害保険代理店からご案内いたします。
  • 共栄火災、ソニー損害保険、チューリッヒ保険会社、SBI損害保険、アクサ損害保険、三井ダイレクト損害保険、SOMPOダイレクトは、株式会社損害保険見直し本舗と損害保険代理店委託契約を締結しており、株式会社損害保険見直し本舗が保険契約の媒介を行います。また、AIG損害保険、三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損保、損害保険ジャパン、セコム損害保険は、株式会社損害保険見直し本舗と損害保険代理店委託契約を締結しており、株式会社損害保険見直し本舗が保険契約締結の代理を行います。
  • 楽天損保は、直接お客様と保険会社との契約になり、楽天インシュアランスプランニングが幹事代理店、株式会社損害保険見直し本舗が非幹事代理店となります。
  • 東京海上ダイレクトは、直接お客様と保険会社との契約になります。
  • こくみん共済 coopは、直接お客様と保険会社との契約になります。
    ※こくみん共済 coopは「保険」ではなく「共済」と呼ばれますので、読み替えをお願いします。初めて共済に加入する際は組合員になる必要があります。
ページトップ